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Mitsubishi PAJERO

この車で行けない場所はない

About PAJERO

 極論すればRV車と言えばPAJEROのことだった時代があった。当時、このカテゴリー以外はセダンしかなかったに等しく、PAJEROの人気はすさまじかった。クロカン走行をしないユーザーもこぞってこの車を買ったのである。
 91年、PAJEROはフルモデルチェンジし、先進的な4駆動システムを搭載し、一気に車種を広げ、またそのデザインが受けた。
 トヨタがどうしてもPAJEROにならざるを得ないと判断したのだろう、デザインをコピーしたPRADOが出てくるなど、まさにPAJEROの栄華は、何年も続くように思われた。
 ところがPAJEROにトドメをさしたのはOdysseyなどのミニバンの登場だ。要するに5名以上乗れて、荷物がたっぷり積める車が他に無かったから、たまたまPAJEROを買っていた人達が総崩れし、このカテゴリーに流れて行った。
 そして今、PAJEROはさらなる危機にさらされている。ミニバンよりは硬派なゾーンを狙ったHARRIERをルーツとするSUVがどんどん出てきているのだ。XtrailやMURANO、最近は外車勢のリリースも頻繁だ。BMW,Mercedes,VW,VOLVO,。
 これら高級SUV車達はスパルタンなイメージをまとっている。よってミニバンでは侵食不可能なPAJEROの最後の領域を、どん欲に刈りとり始めている。
 しかたがない、そもそもこの日本という状況ではクロスカントリー走行そのものが絶滅してるのであってクロカン車は衰退の一途をたどるのだ。

 しかし、私はPAJEROを愛車としている。まずその走行性能だ。現在のPAJEROになってからトルクが豊かで高速も快適に、ワインディングもそつなくこなす。そして本領はやはり林道や深い雪の走行だ。林道旅行を愛するものとして、車体は頑丈でなければならない。林道を何千キロも走ってガタが来ないか、ということである。
 また深い雪道の走行は冬期の温泉場に行くときに必要なことがある。そもそも車というものは自由に移動できることが基本だ。車のくせに行けないところがある、というのは許せないのだ。
一夜にしてドカ雪が降り新雪を走ることができるかどうかが、大いに差がつくことになる。フルタイム4駆や車高が低く足が伸びないSUVやら乗用車型の4駆動では、手も足も出ない旅行が日本にもあるのだ。悪路走破性と漠然と性能を追求するのではなく、雪道に特化した性能は実はPAJEROのようなクロカン車の商品企画の方向性としてありうると思っている。
 また我がPAJEROは大量の荷物が積める。サードシートは使わない時は床下に収納され、完全に跡形もなく消え広大な荷室が現れる。さらにこのシートは車外に取り外せるのだ!
 シートを外した後はその床下スペースは収納スペースになる。7名用大型テントがそこにすっぽり収納できてしまう。この現行型のPAJEROにしてからは家族4人のキャンプ、フル装備でルーフキャリアーを使うことがなくなった。
 クロカンの伝統であるラダーフレーム構造はモノコックに変わり、足回りは独懸に変わった。この乗用車には当たり前の構造は、クロカン走行には不利だと言われている。確かにウインチはつけられない体になってしまった。しかし、モーグル地形は崩落以外は林道には存在しないし、深い雪道走行であれば、大いにこの構造でも威力を発揮する。PAJEROの足は伸び縮み方向とも旧型に比べて数十ミリ広くなった。路面に押し付ける力は独懸にはないものの、足は非改造のままで十分伸びるのである。こと深い雪道走行においては、弩級クラスのクロカン車と全く互角の走行が可能であることを私は経験してる。
 その意味で私にとって最近流行の大型SUVよりもバランスがとれていると思うのだ。今のところベストな選択だと思っている。

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90L


pajeromidship_2.jpgパジェロは現行モデルになってモノコックボディーとなった。最低地上高が3cm上がり、しかし床面は5cm下がり、4輪独懸にもなる。オン、オフ両面の走行進化を遂げる。
 このレイアウトで旧型では後部にあった大容量の燃料タンクは車体の中央に移っている。安全性を考えた結果だ。中央に移ったことで2L少なくなったものの容量は90Lをキープ。
 遠乗りにおいて私の運転では大体7.5km/Lは走ってくれる。ということは無給油で約600km以上を走ってしまうことを意味する。これは長距離、長期間の旅には本当にありがたいスペックだ。
 燃料警告ランプが点くとタンクには約10L 残っている。遠征をしているときは携行缶10Lを持っているからこの段階で10L投入。つまり合計20L。この段階で直ちに旅を終えてGSを探す。ぎりぎりまで走っても、楽に140kmを越える走行が可能なので、たとえ日曜日、山奥と言えどこの範囲でGSが見つからないことはない。

Super Select 4WD

83s83N836083832.jpgPAJEROの4駆動システムは、91年度型から基本的に現在の方式に行き着いている。FR走行の2WD、そしてフルタイム4駆動となる4H,悪路走行に対応した4HLc、そして強烈な登坂力、制動を実現する4LLcの4つのモードがある。Lcとはつまりlockの意味。センターデファレンシャルギアを直結してしまう。つまり前後の2輪間の回転差がこれでなくなるので、舗装路面では使えない、曲がりにくくなってしまうからだが、悪路ではこのモードが効く!理論的には左側か右側の前輪、後輪が完全にスタックしてしまっても他のタイヤは回転して、車は前に進んで行く。電子制御されていないフルタイム4駆動はたった1輪が空回りしただけで、エンジンのパワーはすべてその一輪に逃げてしまい車はピクリとも動かない状況になるのだ。
 PAJEROはローモードのデフロック4駆動モードも備える。通常使う4速だけではなく、さらにローギアー群がある。ローレンジ,1速。このモードは頼もしいく微妙なアクセルワークで信じられないほどの悪路をクリアーしていく。

写真は三菱公式サイトより

Flat Sheet

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ごらんの通りPAJEROはフルフラットシートになる。columnでも書いたが最近の欧州系の高級SUVはこの機能がない。車中泊という「貧しい」ことをこれらの車のオーナーはしない、と言われればグーの音もでない。(笑) だが、日本で、きままな車を使っての旅、というジャンルにおいて車中泊は、必須ではないだろうか?
 私は、てきとーに走って観光協会などに飛び込み、その日の宿を求める。しかしそれが叶わないこともある。17時を過ぎれば宿を斡旋する案内所などは終わっていたりする。そこで山中や無料駐車場などで泊る事もある。これが実に無計画でいい!車ならではの旅だと思う。
 テントも最初は張っていたが、だんだん面倒になる。バイクの旅行とちがってゆったりした車の空間があるのだ。PAJEROなら車中泊は楽勝である。ファーストとセカンドがジョイントされてフラットシートになる。多少でこぼこがあるが、腰の落ち着き場所があって快適に寝られる。セカンドシートは分割するので、荷室の荷物は外に出さずにそのまま寝られるのだ。
 長距離、且つきままな旅行の必須機能だと思っている。
写真は三菱公式サイトより

Suspension Range

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 PAJEROも最近はSUVとカテゴリーされることがあるが、おおまかに言えば、SUV車との一番の違いは、このsuspensionの伸び縮みだと思う。敬愛する本当のクロスカントリービークルからすれば、今のPAJEROは下野してしまった志の低い「元クロカン志向があった車でしかない」と言えるだろう。
 しかしPAJEROは元々は道なき道を進む、というよりはパリダカール・ラリーで上位独占をしてきたように、長距離を超高速でダートをつっ走る、つまりダートランナーというのが遺伝子である。よって高速で走るためにクロカン車が定石としているラダーフレーム、リジッドアクスル方式を捨て、モノコックボディー、独立懸架、つまり4つのタイヤが路面状況に応じて、独自に動く方式に変えたのが現行モデルだ。車軸がつながっているリジッドアクスル方式だと、例えば後輪の左側に石などが高速でヒットした場合、それが右側に伝わってしまい、結果的に車の姿勢は乱れてしまう。高速でダートを突っ走るにはこれはまずい。
 独立懸架にしてからのPAJEROのラリーでの強さは実績済みだ。もちろん、普通の舗装路面での性能も、独立の方が基本的には有利だと言いきってしまっても構わないだろう。
 では極悪路走行をPAJEROは諦めたのか、というとそうでもない。ラダーフレーム時代のPAJEROから現行モデルになってから、最低地上高は235mmと20mmアップ、水中走行性能は5cmアップそして肝心のタイヤのストロークは前輪で40mm拡大の220mm,後輪で30mm拡大で270mmとなっている。写真をみていただくと、ここまで伸びるのだ。ここまで車体を持ち上げても、まだタイヤは接地している。SUV車とは全く違う世界だ。
 もっとも本当にチューンされたクロカン車は、タイヤが外れているのか!と思うほどよく伸びるので、それに比べたらノーマルPAJEROの足は短足だが、実質荒れた林道や深い雪道の走行程度であれば、現行のPAJEROのストロークは十分と思っている。
 またマイナーチェンジ後のPAJEROにはトラクションコントロールがついているモデルがある。そうなると独立懸架とは言っても、タイヤが空回りするほどの悪路に至っても、トルクがコンピューター制御で配分されるので、とにかく車は前に動いていく。独立懸架と言えど対角線スタックはしにくい車となる。
(もっとも最近のハイテク化でハリアーやムラーノでさえ対角スタックはしないというのだから、常識は少しずつ変わってきている。)
 この車で行けないところがあるとすれば。いわゆる廃道系でしかなく、そこはクロカン走行をモータースポーツとして楽しむエリアであって、solo-cruise、つまり旅の目的先には設定されることのないエリアである。よって、この車で行けない旅先はない、と言っているのである。

Cargo Room

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上の写真と下の写真は、同じPAJEROロングボディーのシートアレンジ例となる。下の写真。2列目のシートは前向きに折りたたまっているのは、他の車でも例があるだろう。しかし3列目のシートは、どこに行ってしまったのだろうか?
 なんと床下にすっぽり丸々収納されているのだ。収納されればご覧の通り、床面は全くフラット、二人が座れるベンチシートが、丸ごと床下にあるとは誰も気づかない。これは非常に素晴らしい方法だと思う。
 さらに!このサードシートは完全に車体から取り外すことができる。ということは、。
 そう!広い床下収納が出現するのだ。このスペースに大型7名のテントやレスキュー道具などがすっぽり収まってしまう。実際このおかげで4名が乗り、キャンプ道具満載でもルーフキャリアーを使ったことがない。実用面は非常に高いと思う。

1950kg 

僕のパジェロEXCEED -Sの車検証を見ると車体重量は1950kgとなっている。そう、2トンを切っているのだ。噂によると三菱のミス?らしい。まさか。
フルオートエアコンを2台搭載し、エンジンも3500cc、どうみてもフルスペックだ。いったい2000年度のこのモデルは、どこを削って2トンを切っているのだろうか?今現在、パジェロのロングボディーで2トンを切っているモデルはない。その意味で貴重だ。税金もその恩恵を受けている。

99年度型パジェロ総括

 愛車パジェロを手放すことにした。91年度型、99年度型と乗り継いできたが、散々悩んで末の結論。この結論を攻めないで欲しい。
 しかし、今から宣言しておきたい。この車が進化したとき、必ず戻ってきます。今からそんなことが言えるのか?ライフスタイルが変わったらどうするのか、そんな自問自答もあるにはあるが、不思議な自信があるのだ。またパジェロを買うことになると。
 今パジェロは進化が止まったままだ。とにかく我慢できないのはそのエンジンである。ディーゼルもガソリンも大排気量のまま、昔のままである。大排気量なのに非力で燃費が悪い。無いものねだりではない。すでに国産も海外産も力と好燃費の両立が実現している事例がいくらでもある。お金がかかるパワートレーンに開発費用を投下せず、海外で売れているために新しい潮流に目をふさぎ、必死に延命を図ろうとしているといったら言い過ぎだろうか。
 そもそもパジェロは「自動車」として先進的だったはずだ。今のパジェロに衆目に値する先進性があるだろうか?そして今パジェロは注目されているだろうか?
 RV車も、ミニバンも、SUVが存在しなった時代だったとはいえ、進化した自動車として認められたからこそ、高価なパジェロがかつて月2000台以上の売れていたと言えないだろうか?
 パジェロへの想いを語りたい。まずはパワートレーンの革新を望む。直噴、希薄燃焼を先駆けて挑戦したスピリッツはどこに言ったのか?エンジンの軽量化そしてパワー化の両立で他社に追いつけ、追い越して欲しい。軽量化は確実にパジェロのすべての性能に良い影響を与える。
 そして少しコンパクトになっていて欲しいとおもう。そう、それは91年度型当時のサイズだ。今パジェロは新興国、発展途上国の販売ウエイトが大きい。

 そういう国は大きく、立派に見せることも大事だということはわかっている。
 昨年から今年の夏にかけて私はガーナに赴いた。そこで多くのパジェロを見る。日本のパジェロとは違った車に見えた。ダートを80kmオーバーで疾走するパジェロ達。日本の箱庭的林道を走る設計思想では全く対応できない世界がそこにあった。それはわかっている。しかし、私は日本に住んでいる。日本の視点でパジェロの進化を望みたくなる。
 新世代のパジェロは林道と雪のロングツーリングにターゲットを合わすべし。豪雪地帯にある秘湯をめざすイメージである。日本の冬は突然オフロードが創出される過酷な自然を持つ国だ。
 山岳地帯のほとんどの県道は一夜にして何十cmもの雪で埋まる。深雪をものともせず目的地に達せる車としてパジェロを再定義するのだ。それはモーグル地形を突破したり、ダートを100km/h以上で走る世界とは違う性能が求められるはずだ。林道の閉鎖が続きパジェロの活躍する場面は確かに減った。しかし、どの国道、県道も猛烈な雪に埋まることが日常的に日本にはあるのだ。スタックする車を置き去りにし、絶対的信頼の対象としてのパジェロ。それが次世代のパジェロが考える「好きな時に好きな場所」に確実に行ける新生パジェロのイメージだ。そして夏になれば広大な北海道の林道群をつかって、グリーン探索の旅に出る。アウトドア系のアクセサリーも豊富にだして欲しい。アクセサリーカタログを見るとその車の主旨が見えてくる。これは大変大事なことだ。アクセサリーで復活の筆頭はウインチである。
 モノコックになってウインチはつけられなくなったが、なんとかならないものだろうか?車体のある一部分だけ強烈なストレスを加えることができ、且つモノコック構造にダメージを与えない工夫、。昔のパジェロはエンジン型、電動型のウインチが選べるようになっていて実に楽しかった。ウインチがエントリーしてくると、そういう思想の車だということが端的にわかるのだ。つまりいかなる場所にもカスタマーを連れて行く、というパジェロ精神が見えてくる。ウインチは無理だとしたら、チルホールなどのアクセサリーもカタログに載せるべきだ。そしてその使い方教則本などを出すことで、趣味性と実用性が見えてきて楽しいではないか。
 あ、そしてこれだけはどうしても言わなくては。ゴムのフロアーマット(笑)。 は?マット?そうなのだ。車内にひくマットである。オフロード走行を標榜していたのになぜカーペットのマットしか選べなくしたのだろうか?理解に苦しむ。当時、ディーラーに私は抗議した。今度のパジェロはキャンプ場にいかないでください、と言いたいのか!?と。あのゴム仕様マットは実に重宝した。林道を一日走ってきても、キャンプ場で一日遊んでも、車内が汚れないのだ。たったゴムマット1セットだが、それが選べなくなることでことで車のコンセプトは鈍り、また私のようなファンは傷つくものだ。
 アクセサリーカタログには剣型スコップ(林道用)角形スコップ(雪道用)と共に三菱ロゴ入りの長靴なんかいかがだろうか。膝から上までのロングタイプ。こんなアクセサリー一つで俄然パジェロの言いたいことがカスタマーにわかるではないか。特殊な車になってしまうことを恐れてはいけない!もうこれから普通の車です、と言い変えても無理だ。手遅れである。パジェロは特殊な、でも自動車として本来の好きな場所に行ける、という原点回帰の性能をうたうべきだ。自覚しきることだ。
  その啓蒙は確かに容易ではない。ハーレーのようなメーカー主催のユーザークラブ、つまりパジェロがあることによって実現するカーライフの共有する各種イベント、オフ会で触発したらどうだろうか。
 そして大事なのは山岳ドライブ以外のラグジュアリー路線も追求するのだ。リゾートホテルに乗り付けそしてボーイにLouis Vuittonのトランクを運ばせる。そして自分は(ここでは決して長靴を履いていてはいけない(笑))ジェケットを来て、女房をエスコートしてパジェロの鍵をバレットパーキングに託す。それもパジェロならできるではないか!デザインのセンスである。それは新規開発費はかからない。そうすれば小賢しいSUVなど蹴散らす二刀流となる。その世界こそ、パジェロの「オハコ」である。

 雪道走行、そして林道走行を実に安全に、そして最新鋭のパワートレーンによって低燃費でロングドライブをこなす次世代のパジェロ。日本の山道を制することができるのは日本発のパジェロだけだ。そのコンセプトで再登場を待ちます。その時私が選ぶ車種はショートボディーだとおもう。ショートでも車中泊のためのフラットシートを忘れずにお願いします、三菱様。なんなら私、無償で商品企画やってもいいです。企画に参画させてくださいませ。